近年はバランスファンドへの資金流入が増えています。
バランスファンドは株や債券、不動産(REIT)などが一つにパッケージされた商品。
投資地区も世界各地に分散されており、リスクを抑える設計となっています。
資産配分を自分で行うのは案外難しいので、一つの商品を買うだけで良いというのは非常に魅力的ですね。
私自身も資産運用の柱としているのは、バランスファンドの積立投資です。
『つみたてNISA』や『iDeCo』といった税制優遇がある制度が開始されたことで、初めて投資を行う人も増えてきました。
このような背景があるので今後もバランスファンドは安定的に資金流入が増えていくと想像しています。
そこで、今回はバランスファンドに関して頭に入れておいて頭に入れておいて欲しいことを書いておきます。
最初に結論を書きますが、金融機関とって売りやすいバランスファンドは『8資産均等型』です。
一方で金融関係者が自分の投資に対して消極的なのも『8資産均等型』です。
8資産均等型ファンドは初心者に売りやすい
バランスファンドの最もオーソドックスな形というのは、国内株式・国内債券・ 外国株式・外国債券の4つを25%づつ配分する方法です。
4つの資産が均等に分散されていて綺麗ですね。
値動きの違う『株式』と『債券』が50:50の割合で“資産運用の教科書”といった感じです。
この形を出発点にして6資産分散や8資産分散と新しい商品が生まれてきたのがバランスファンドの歴史です。
そして、この均等配分型の中でも人気が高いのが配分を細かく分けた8資産均等型。
有名なのは「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」ですね。
以下のような配分比率になっています。
資産 | インデックス | 資産比率 | 財産比率 |
国内株式 | TOPIX(東証株価指数) | 12.5% | 37.5% |
先進国株式 | MSCI コクサイ・インデックス | 12.5% | |
新興国株式 | MSCI エマージング・マーケット・インデクス | 12.5% | |
国内債券 | NOMURA-BPI 総合 | 12.5% | 37.5% |
先進国債券 | シティ世界国債インデックス | 12.5% | |
新興国債券 | JPモルガン・GBI-EM Global Div | 12.5% | |
国内REIT | 東証REIT指数 | 12.5% | 25.0% |
先進国REIT | S&P先進国REITインデックス | 12.5% |
大分類としては株式、債券、リート(不動産)の3つの資産ですが、国内・先進国・新興国と別れており合計8資産で構成されています。
これを円グラフにする以下のような感じです。
基本の4資産均等よりも2倍に資産クラスが増えたので、分散効果が高まったように見えますね。
多くの資産で構成されていて均等の美しい円グラフなので、販売側からすると投資の初心者には説明しやすい商品です。
『8種類の資産を均等に配分して、リスクを抑えた投資信託です』
等間隔の円グラフを見せながら説明すれば、投資経験が無い人にも比較的スムーズに理解できると思います。
“資産配分の比率がバラバラの商品”と“8資産均等の商品”を並べて説明されたら、「均等の方が無難かなぁ」と思うのが一般の感覚ですね。
ここで言いたいのは8資産均等がダメという事ではありません。
無難な商品を選んだという気持ちが強すぎて、注意点を理解しないまま投資している事が問題なのです。
‥と言うのも、金融専門家はバランスファンドに不動産(リート)を組込む商品に対しては消極的な人が多いのです。
不動産(リート)を組込まない理由について説明していきます。
専門家の多くは、REITの運用比率は小さい
J-REIT全体の時価総額は2019年10月7日現在で約16兆7千億円です。
では、以下の数字は何だか分かるでしょうか?
22兆8千億円。
答えは同じ日の「トヨタ自動車」の時価総額になります。
世界のトヨタが凄いといえばそれまでですが、J- REIT全体よりも大きいのです。
別の言い方をすれば、J- REITは凄く小さい市場ということです。
ここで、先ほどの8資産分散の国内リート(J- REIT)に対する割合を思い出してみてください。
全体の12.5%でしたね。
これは、極論を言えばトヨタ1社だけに12.5%の投資をしてるの同じ状態。
海外REITも同じで株式市場と比べると凄く小さいのが現実です。
つまり、国内・海外リートだけで25%という数字は、時価総額から考えると突出して大きな数字・・
例えば、私達の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産配分を確認してみてください(2019年6月末)
資産項目に、J-REITはありませんね。
実際には購入しているのですが、全体でみると1%未満で「無いに等しい状態」です。
金融専門家から8資産均等ファンドの評価が低い理由は、『REITをそんな高い比率で持つ必要があるの?』という疑問があるからです。
また、ちょっと裏話をすると“REITファンド”がこんなにたくさんあるのは、世界中探しても日本くらいです。
米国や欧州では株式と同じように考えられているので、“REITファンド”というカテゴリーすら無いのが普通。
ただし、REITがバランスファンドでダメかと言えば、そうとも思いません。
J-REITに関しては、株式や債券とは明らかに違う動きをしてきた過去があるので、リスク低減効果は期待できます。
もっともREITの市場規模が小さいという事を考えると、チョットしたことで大きく値が動く可能性があります。
REITは魅力的な商品だと思いますが、比率に関しては控えめの方が無難ですね。
長期投資の基本は「世界経済」の成長を取り込む方法!
今回は『投資信託の盲点!多くの人が知らないバランスファンドの不安要素』について書きました。
資産運用で参考になる点があればヒントにしてみてください。
最後に私の投資方針について記載しておきます。
資産運用の柱に世界分散のセゾン投資にしているのですが、これには理由があります。
このファンドの資産配分の割合は、時価総額の規模をもとに考えられています。
これは別の言い方をすれば、将来的に世界の勢力図が変われば資産配分も変わるという意味です。
私の資産運用の根幹は『世界経済は毎年成長しているのでそれに乗っていくのが簡単』というシンプルなもの。
その考えと“セゾン投信の方針が合っていた”ので、この商品を資産運用の中心にしたわけです。
やはり自分の価値観と同じファンドというのは、自然と長期運用になりますね。
これからも10年、20年と積立を継続していこうと思います。