私は新型コロナウイルスが報道された当初は、株式市場に与える影響は短期かつ限定的だと考えていました。
しかし、感染拡大は止まらず 世界主要都市が次々と封鎖される事態 に発展!
企業への影響はもちろんですが、個人の消費活動もストップしています。
また、WHO事務局長からは「ワクチン開発には1年~1年半」という発言があったことから、経済が正常化する道のりは予想よりもずっと長くなる可能性もあります。
短期間で収束するストーリーは崩壊しましたので、現在の投資も若干修正する必要性がありますね。
私が買付を慎重に考えた方がいいと思う銘柄としては、 高配当で人気の【SPDR ポートフォリオ S&P 500 高配当株式 ETF(SPYD)】です。
今回は SPYD に関する不安点と投資する時の考え方について書いていきます。
※個人的な投資についての記事で推奨ではありません。
※投資判断はご自身で行ってください。
この記事の目次
【高配当株=優良企業】という誤解!SPYDが抱える爆弾とは?
SPYDは『S&P500構成銘柄のうち、配当利回り上位80銘柄に均等に投資するETF』で直近の配当利回りは6%以上となっています。
基準:2020年3月末時点
一見すると非常に魅力的に感じますね。
「値下がりした時に買っておけば、将来にわたって6%の配当が確保できるかも?」といった想像から買い付けしている人が目立ちます。
安い時に買うという発想は良いのですが、この銘柄に関しては“今が買いですか?”と聞かれると言葉に詰まるのが本音です。
結論を先にのべると、SPYDは不景気に弱いと考えています。
また、6%以上の配当が今後も維持されるかは微妙・・
買付タイミングが難しい印象ですが、雑誌等では『初心者向き』と書かれている事も多いです。
商品内容をシッカリ理解してから投資をした方が良いETFですね。
(初心者には難しいETFだと思います)
景気低迷時にSPYDに投資するのはリスクが高い?
高配当のETFとしては、SPYD 以外にも VYM や HDV もあります。
それぞれの 年初来と1年、3年の年率リターン(配当含む)を比較してみましょう。
★高配当ETF:直近の実績(年率リターン)
基準:2020年4月8日時点
銘柄名 | 年初来 | 1年 | 3年 |
バンガード 米国高配当株式 ETF(VYM) | ▲18.8% | ▲10.6% | +1.2% |
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV) | ▲19.2% | ▲14.3% | +1.3% |
SPDR ポートフォリオ S&P 500 高配当株式 ETF(SPYD) | ▲31.2% | ▲27.3% | ▲4.6% |
高配当ETFの中で、SPYDのパフォーマンスは圧倒的に悪くなっています。
同じ高配当株式なのに不思議な気がしますね。
この理由は、各ETFの特徴によるところが大きいです。
VYM は約400社という多くの企業で構成されいていので、 市場全体 に近い動きをする傾向 があります。
HDV は銘柄数が75社しかないのですが 【財務の健全性が高い企業】 という選別条件があるので、一定の歯止めがあります。
それに対してSPYDは、S&P500の配当利回り上位80銘柄というものです。
銘柄が少ないことに加えて、財務体質や成長性などは一切考慮されていません。
高配当銘柄に関しては優良企業のイメージが強いですね。
実際に米国株には利益を伸ばすことで増配を繰り返す企業も多いです。
ただし、配当利回りに関しては株価が下落しても上昇します。
(見掛け倒しの高配当株)。
私はSPYDに対して、質の悪い高配当株が多く含まれている可能性があると考えています。
こういった企業は不景気には叩き売られてしまいますので、ETFに含まれていれば成績に影響を与えます。
また景気敏感株の「エネルギー関連」の割合が高いETFなので、安定感を期待することもできません。
SPYDのようなETFは景気が良い時なら投資対象になるのですが、景気低迷が続く時は“怖くて買いたくない”というのが個人的な感想です。
減配とリバランスで更なる株価が低下するリスクも?
SPYD には 株価下落で配当利回りが上昇している銘柄が含まれている可能性について書きました。
下落の理由が業績不安であるならば、将来は減配する可能性も出てきます。
配当しか魅力がない銘柄が減配すればどうなるか・・・、
過去の経験では、 株価下落に加速が掛かります 。
こういった銘柄を含むETFには、投資を積極的にするのは難しいですね。
ただし、 SPYD には企業の配当利回りを確認して年2回(1月と7月)リバランスが実施される設計になっています。
無配に転じたような銘柄は排除できるわけです。
ただし、これも不景気な時には安心材料になりません。
記事の途中で書きましたが、このETFの選定基準は配当利回りのみ。
つまり、入れ替わった銘柄が成長パワーのある優良銘柄という保証が無いのです。
経済が低迷している時は、質の悪い高配当株が加わる確率が高くなります。
入れ替わった銘柄が、 新たな株価押し下げ材料 となる可能性もあるという事です。
下がりすぎた事による一時的な反発は期待できますが、長期的には市場パフォーマンスを上回る確率は低いと考えています。
SPYDがダメなのではない!投資の時期を考えることが大切。
SPYDファンの投資家にとっては面白くない内容だったかもしれません。
ただし、記事を読んで勘違いして欲しくないのですが、 SPYDを買ってはダメという話ではありません。
100点満点とは言い難い ETF ですが、配当が精神的な支えとなって長期運用が継続できる効果があります。
景気が良い時であれば、高配当と株価上昇の両方が狙えますね。
今回は経済停滞が長引く可能性が出てきたので、敢えて不安点をピックアップしてみました。
現在のような不透明感が強い時期はデメリットを考えた上で買付をして欲しいという事です。
補足:SPYDの考え方(基本戦略)
最後に補足ですが、 この銘柄を下落時に購入しようとする人が多いのですが(利回り目的)、個人的には上昇時に買いつける銘柄だと思っています。
また、既にSPYDを保有している人には、下落時に平均購入単価を下げる目的で買付するパターンも目立ちます・・。
ただ、私ならば追加投資は別の銘柄を選びます。
SPYDの内容は事実上のアクティブファンド。
良い方に転べば好結果ですが、 失敗すれば大火傷となります。
集中投資をするには非常にリスクが高いETFです。
全体の比率としては2割程度までに抑えたほうが無難。
安定性に不安があるETFですので、長期の運用ならば米国市場(VOOなど)や世界株式(VTなど)といった堅い商品に補助的に加える方法が良いと思います。
また、ハイテク分野の割合が低い構成なのでナスダック(QQQなど)に連動するような商品と合わせて持つのも選択肢です。
メインよりも補助的な投資で活躍するETFだと考えています。
今回は「SPYDが不景気に弱いって本当?商品特徴から考える投資の勘所」について書きました。
記事の中で参考になる点があれば、運用のヒントにしてみてください。
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