最近はESG投資という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
地球に優しい企業への投資というイメージですね。
これは販売側が環境(Environment)の部分をクローズアップしているからです。
実際には、社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素もあります。
尚、ESG投資は新しい投資ではなく、昔からある考え方。
急に流行りだした印象ですが、まともな運用会社ならば普通の事とも言えます。
例えば、企業を選択する時の材料として財務・株価情報(PERやROE・決算など)がありますね。
これは目に見える数字だけの話。
ただし、企業の体質的な事まではわかりません。
そこで、目に見えない部分(ESG)も評価に加えて、長期的な優良企業を見つけ出そうというのがESG投資です。
日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がこの考えに賛同したことで急激に広がりはじめました。
今回は、話題のESG投資について書いていきます。
※個人的な投資についての記事で推奨ではありません。
※投資判断はご自身で行ってください。
この記事の目次
ESG投信は増えているけど、ファンドによって内容が違う
ESG投資は【財務・株価情報】にプラスして【目に見えないもの(ESG)】を評価に加える手法。
見えないという事もあり、明確な統一基準がありません。
例えば化石燃料を扱う企業は環境に悪いからダメという考え方もあれば、化石燃料は扱っているけど自然エネルギーに積極的だからOKとする場合もあります。
企業選択の方法は何種類もあるので、ESGというネーミングがついていても成績が良い物もあれば悪い物もあります。
販売側が“売りやすい”という理由から環境部分をクローズアップしていますが、中身を見るとイメージが違うことも多いです。
尚、環境への優しさばかりを優先するのは、本来のESG投資とは違います。
日本では、名ばかりESGも多いので注意してください。
ESG投信の好成績の例として「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」を見てみましょう。
「先進国ESG株式」が「通常の先進国株式」よりも好成績?
「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」は2021年1月に設定された新しいファンド。
ベンチマークは FTSE4Good Developed 100 Index です。
この指数は、先進国の企業をESG選定基準でスクリーニング、その中から時価総額大きい約100社を選抜したものです。
過去6ヶ月の成績を見ると、先進国株に投資をする「野村インデックスファンド・外国株式」よりも好リターンとなっています。
※指数はMSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース・為替ヘッジなし)
★基準日:2021年9月30日(6ヶ月)
商品名 | リターン | 銘柄数 |
野村インデックスファンド・先進国ESG株式 | 12.8% | 103 |
野村インデックスファンド・外国株式 | 10.2% | 1293 |
ファンドの設定日から短いので6ヶ月の比較です。
短すぎるので参考程度でにしてください。
ESGの投信については環境中心で成績が冴えないイメージを持っていたので、私としてはやや意外な結果でした。
環境以外の部分(社会・ガバナンス)もシッカリと要素に取り入れないと、こういう成績にはなりません。
ESGをバランスよく総合評価している投信と言えますね。
さて、成績が良いのでどういった企業が採用されているのか気になります。
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その結果は、とても驚くべきものでした・・
「先進国ESG株式」は、米国エリアの割合が7割以上。
最初に、組入れ上位5社を見てみましょう。
★基準日:2021年9月30日
銘柄 | 比率 | 地域 |
アップル | 10.6% | アメリカ |
マイクロソフト | 10.2% | アメリカ |
アルファベット クラスA | 3.8% | アメリカ |
アルファベット クラスC | 3.6% | アメリカ |
エヌビディア | 2.3% | アメリカ |
EDGなので銘柄が違うと予想していましたが、上位銘柄は世界株や米国株の指数と同じような企業ばかりです。
ちなみに、1~9位までは全て米国企業。
米国比率は73.2%です。
通常の先進国株式よりも米国割合が高い・・
この状況だと米国市場の好不調によって成績が決まりますね。
さらに細かく見ると、上記のベスト5は全てIT関連です。
アップルとマイクロソフト、グーグルの比率が高いですね。
ちなみに、アマゾン(AMZN)とフェイスブック(FB)は対象銘柄にはいっていません。
「先進国ESG株式」は、通常の先進国株式より攻撃的です。
参考までに「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」と「野村インデックスファンド・外国株式」でIT関連の比率を比較してみました。
先進国ESG株式 | 外国株式(先進国) | |
ソフトウェア | 14.8% | 7.7% |
コンピュータ・周辺機器 | 10.6% | 4.6% |
半導体・半導体製造装置 | 7.8% | 4.6% |
インタラクティブ・メディア | 7.4% | 4.8% |
ESG株式のIT関連だけで40%以上ですね。
普通の先進国株と比較すると約2倍です。
ESGというネーミングですが、エリア・業種とも偏りがある内容。
「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」が好調なのは、米国IT大手の割合が高いというのが理由のような気がします。
ESG投資といっても、その中身はバラバラという点は憶えておくといいと思います。
「環境(Environment)に配慮した企業への投資」というイメージが強いのですが、社会(Social)・ガバナンス(Governance)も選択要素ですからね。
今回は【先進国ESG株式が予想外の好調!その中身が超~意外でした】について書きました。
記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。
尚、「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」の信託報酬(コスト)は0.297%(税込み・500億円以下の場合)です。
※純資産が増えるとコストも下がる設計
地域や業種に偏りがあるのでメイン投資にするのは難しいと思いますが、低コスト&大型株中心で面白いファンドだと思いました。
今のところ、この投信の取扱いはSBI証券だけとなっています。
EGS投資に興味がある人には選択肢のひとつになりますね。