10年前の投資のイメージと言えば“日本株”が圧倒的でした。
現在は投資信託、債券、外国株など選択肢が多く、自分の運用スタイルに合わせて投資を実践することが可能です。
このような状況の中、新しい投資商品として話題なのが【クラウドファンディング:略称CF】。
※この記事のCFは【貸付型(別称:ソーシャルレンディング)】です。
関東エリアでは『資産運用』のような雰囲気でテレビCMを出している事業者もあるので、気になっている人もいるかもしれませんね?
爽やかで簡単に投資ができるイメージのCMですが、 FPがこの商品を提案するという事は普通に考えてありません。
・・・と言うのも、 投資経験の長い人でも非常に難しい商品だからです。
(むしろ、ベテランほど購入しない商品?)
また、投資タイミングについても、あまり考えないで実施している人が多いような気がしています。
今回はクラウドファンディングに投資をする前に、知っておくべきリスクについて書いていきます。
最初に私の結論を述べると“リスクが高すぎて資産運用としては難しい”という感じです。
この記事の目次
ソーシャルレンディングのリターンが高いというのは幻想?
テレビCMで見かけることが多いのは、融資型(貸付型)クラウドファンディングでソーシャルレンディングとも呼ばれています。
有名なところでは、「maneo」「SBIソーシャルレンディング」「クラウドバンク」などがあります。
これらが注目されているのは、何といっても利回りの高さです。
平均利回りで7%~8%もあるので、飛びつていしまう人も少なくありません。
ただし、数字上の利回りが高いからといってリスクとのバランスで納得できるとかと言えば疑問もあります。
私の個人的な印象としては「このリスクで、リターンがこれだけ・・」というものです。
このように感じる理由について説明していきます。
注意点①:CFは融資先と事業者のWリスクがある
私達が投資で資産運用を行うときに注意したいのが安全性です。
株式投資である会社の株を購入した場合に、その企業が倒産すれば元本が無くなるになるリスクがあります。
ただし、証券会社が倒産したからといって株式が紙屑になるようなことがありません。これは投資信託でも同様です。
しかし、ソーシャルレンディングの場合は、事業者が倒産すれば 預けた資金が戻らない可能性があります。
また、融資先に関して“○○(事業所)は元本回収率が100%”なんて話がありますが、これは今後投資する先とは全く関係ない話なので参考になりません。
つまり、融資先(貸付先)と事業者のWリスクがあります。
「そんな小さな可能性は考えなくても・・」と思うかもしれませんが、過去にこのリスクが現実化しています。
例えば、この分野では大手となる【maneo】や【SBIソーシャルレンディング】では貸し倒れが発生しています。
大手事業者だからって、融資先(貸付先)も安泰なんて事はありません。
また、【クラウドバンク】にいたっては過去に2回にわたり行政処分が実施されています。
特に2回目に関しては、不動産担保の順位虚偽とキャッシュバックキャンペーンを意図的に支払わないという悪質なものでした。
融資先の情報についても非公開となっているものが多いのも気になりますね。
このような背景を見ていくと、“利回りが高い”という表現には疑問・・・
個人的には今後も不安が大きいと考えています。
注意点②:途中売却ができないという巨大なリスク!
ソーシャルレンディングに投資をする理由に「安定的なリターン」をあげる人がいるのですが・・この点についても疑問があります。
こういったサービスで資金調達をする企業には【銀行が貸してくれない】といったケースが多く含まれています。
一般的に、事業が好調で財務が健全な会社に対しては、銀行の方から“借りてほしい”とお願いがあるのが普通です。
ちなみに、事業者は一般投資家への分配金の支払いに加えてクラウドファンディング事業者への取り分も用意するので本当の金利は更に高いのが現実。
そもそも、債券の金利や投資信託の分配金は投資した人が全て貰うのが普通ですから、かなり投資としても非効率に見えますね。
さらに、私がもっとも不安だと思うのが原則として中途解約ができないという点です。
デフォルト率が高い投資不適格債券と似たイメージなので、景気が不安と感じた場合には売却して現金化する逃げ道が欲しいのが本音です。
しかし、クラウドファンディングはこれが出来ません。
つまり『今後が不安だからクラウドファンディングで運用』というは、かなりメチャクチャな話です。
注意点①で書いたように融資先と事業者のWリスクもあるのですから、基本的には景気が良い時でないと恐い印象です。
資産運用で難しい商品を選択する必要はありません
今回は『ソーシャルレンディングをFPが斬る!胃薬が飲みたくなる不安な投資?』について書きました。
ヒントになる点があれば、投資を実行する時の参考にしてみてください。
投資は自己責任ですので、どの投資を選択しても自由です。
ただし、今回の記事で書いた商品は“金融の専門家が手を出さないもの”である点はシッカリ認識しておくべきですね。
商品の良し悪しは別にしても、通常の投資と比べて情報が少ないのが大きな欠点だと思います。
金融庁からはソーシャルレンディングに対して貸付先の情報開示が可能となる解釈を公表されているのですが・・・、非開示の貸付先が多い・・。
また、この商品は中途解約ができないと書きましたが、これは“自分が投資の主導権をとれない”という事です。
私が投資をした場合を想像すると、“胃薬”がないと耐えられないかも?
最初から捨てる覚悟があるお金でないと、ちょっと難しいですね。
定期的な収入が欲しい場合は、ソーシャルレンディングのような難しい商品を選択しなくても、中途解約できるメジャー商品が複数あります。
そういった商品と見比べた上で、購入を決めても遅くないですね。
長期的に収益が期待できる商品については、別ページでまとめていますので興味がある人は覗いてみてください。