FP 相談で最近になって増えているのが“退職金の運用方法”。
大金が手元に入ってくる経験は、普通は無いので迷うのは当然です。
金融機関からもアプローチがあると思いますが、『優遇金利の預金と抱き合わせで手数料の高い投資信託が販売されている』ケースもあるので注意・・
退職金の運用に関しては資産状況やライフスタイルで変わるためマニュアル的な情報が少ないのも悩ましい点です。
ただし、何も目安がないとも困ったものですので、今回は私が相談者様に提案することが多い考え方を紹介したいと思います。
一般的な資産運用では積立投資を提案することが多いですが、退職金の場合は期間も限られているので一括投資をメインにしています。
※記事は私が提案している方法ですが、FPや金融機関によって考え方は様々です。
その人の状況によって提案内容は変わりますので最終判断はご自身で行ってください。
この記事の目次
一括投資でリスクを抑える方法ってあるの?
退職金の相談では「預金だと増えないので・・」 「元本が目減りするような投資はしたくない」 といった話が多いです。
ワガママにも感じる要望ですが、この考え方は正解だと思います。
退職金は将来の生活を支える資金でもあるので、リターンよりも元本が減少するリスクを徹底的に抑える運用が重要。
一般的な手法としては積立投資ですが、運用期間が限られていて金額が大きい退職金の場合は、必ずしも有効とは言えません。
そこで、私は債券を活用する方法をメインにしてアドバイスしています。
この商品を利用するメリットと注意点について書いていきます。
定期的な利息と満期日が購入時点で確定している
債券取引をしたことが無い人は多いのですが、安定運用を希望する人は最初に注目して欲しい金融商品。
債券は簡単に言うと借用証書みたいなものです。
購入した時点で金利と満期日(償還日)が確定するので計画が立てやすいのが魅力。
債券も保有している時は価格変動があるのですが、満期まで保有すれば額面に対し100%で償還となりますので途中経過は無視してもOK。
投資商品なのですが、商品的には定期預金に近いイメージですね。
ここで、債券の魅力をまとめておきます。
1.保有期間中は継続的に利息収入があります(年2回が多い)
2.途中で価格は変動しますが、満期まで保有すれば額面金額での償還が約束されています。
3.保有期間の資金が必要になれば※途中売却も可能です。
※値動きがあるので株式と同じように元本を割りのリスクあり。
債券に強い証券会社ならば、期間1~30年くらいまで幅広い債券を取揃えているので生活スタイルに合った選択が可能になります。
利回りだけで選ぶと危険!魅力的なのは米ドル建て債券
債券で最も計画が組みやすいのは“円建てタイプ”です。
有名なのは“個人向け国債”ですね。
ただし、日本は超低金利となっているのと、信用度が高い債券では金利水準は1%を大きく下回っており運用する旨味が小さすぎます。
そうなると、為替変動リスクはありますが外国債券が魅力的。
世界一の経済大国である米国が発行する債券でも2~3%の金利が見込めます。
参考までに私は米国債を中心として約2000万円分の債券を保有しており、 毎年40万円程度の金利収入があります。
関連:貰った利息は年間40万!米国債を優先的に購入している理由
一部のみ豪ドル建て債券も保有していますが、それは格付けがアメリカや日本よりも高いという裏付けがあるからです。
新興国通貨(トルコリラ・南アフリカランド)建て債券だと、金利水準が10~20%程度のものもあるのですが、 通貨下落のリスクが高すぎるので保有していません。
ちなみに、債券は借用証書みたいなものと説明しましたが、その点が頭に入っていれば商品選びは凄く簡単です。
誰かにお金を貸すときに“戻ってこない可能性が高い人”や“返済が度々滞る人”に貸すでしょうか?
私はしっかりと返済してくれる信用力のある人でないと、怖くて貸すことはできません。
その結果として選択したのが信用力が高く経済が強い米国です。
世界の中心とも言えるアメリカが責任をもってくれるのですから、これ以上の堅い商品を探すのは相当に難しいと思います。
為替リスク!債券の償還日に円高になってたら・・
米ドル建て債券は金利が高い魅力はありますが、為替変動の影響を受けるデメリットがあります。
期日が到来すれば額面金額が償還されますが、これはあくまでも現地通貨ベースの話です。
例えば、購入時に1ドル=110円で満期日に1ドル=120円の円安になっていれば為替差益で大きく儲かります。
反対に満期日に1ドル=105円の円高なっていれば為替差損が出てしまいます。
途中で貰える金利を考慮すればトータルでプラスになる可能性が高いのですが、為替の損失は避けたいのが本音!
満期日に円高になっていた時に私が実施する対処法を説明します。
円高で満期になれば、米ドルのまま保有しておく。
米ドルのまま保有して、円安になってから(為替差益が出てから)円に変える。
外国債券が満期になった時に、すぐに円で受け取らなきゃいけないという決まりはありません。
米ドルのまま証券会社は預かってくれますので、円安に振れるまでジックリ待てばいいのです。(米ドルで再び米国債を購入することも可能)
退職金の運用は失敗できない!リスク回避を重視せよ
今回は「退職金の運用はどうする?ファイナンシャルプランナーが提案する“お金の活用術”」について書きました。
退職金の運用は現役の時と違い“期間が限られている”ことは頭に入れておいてください。
つまり、利益を追求しすぎて失敗した時は『時間的に取り返せない可能性がある』ということです。
現物債券の強みは、満期日に額面額面の償還が約束されています。これは、リーマンショックのような出来事があっても変わりません。
気楽にチャレンジできる投資商品ですが、米国債などは証券会社の儲けが少ないこともあり、積極的に紹介しているのは少ないのが実情。
ちなみに、投資は自由ですから株式や投信を使った退職金の運用でも問題ありません。
その場合でも、債券のような堅い商品を加えると安心感はグッと高まりますので、選択肢として頭に入れておくと良いでしょう。
尚、債券投資をする時にはネット専業証券よりも大手証券の方が有利なので、どこか口座を持っておくと良いと思います。
・・というのも、取扱い数が多いと資金利用の計画に合わせて3年物と7年物、20年物など複数を組み合わせて保有することも可能。
投資信託や株式の場合は市場変化を見ながら売却になりますが、債券は購入時から主導権を持てるのが魅力ですね!
大手証券は窓口販売が多いので避けている人も多いのですが、私が利用しているSMBC日興証券はネット専用のダイレクト口座でも債券が購入できます。
債券投資を考えている人にとっては、使い勝手が良い会社なのでオススメ。
SMBC日興証券に関しては、別記事で注目点をまとめていますので興味がある人は覗いてみてください。
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